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アキラです。新婚生活2年目。収納家具専門店に入社して2年目。今やる、すぐやる、思いやるが僕のモットー。やり手の収納プランナーの仕事とは、収納ですっきりキレイな部屋づくりをお客さまに提案すること。元気と勇気と前向きな姿勢で、仕事も家庭も大事にしています。と、盛り上がりたいところですが、今は心が折れています。今日のO様宅の打ち合わせで、子供部屋のプランにダメ出しをくらいました。

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 先輩たちからのダメ出しにはだいぶ耐性が身についてきた今日この頃ですが、本日の相手は幼稚園児。O様の長男くんを思いやって、自信満々のプランを提案したのですが、来年から小学生という長男くんには、「なんかダサい! やだ!!」と一蹴されました。

デスク、ワードローブ、ベッドを白でまとめた組み合わせ。子供部屋らしくていいと思っていたのに、なぜだぁ???

でも、6歳の子供の真っ直ぐな意見に、返す言葉もありませんでした。

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 がっかりして打ち合わせのあとは仕事が手につきませんでした。子供恐怖症に陥りそうな気分のまま帰路の総武線に揺られて、そめちゃんこと愛する奥さんの待っているわが家へ。あれ? こんな僕を、そめちゃん待っててくれるかな??? 幼稚園児にダメ出しされるこんな僕を……。只今絶賛自信喪失中!

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 「ただいまぁ…」

「おかえり!アキラくんどうしたの、マイナスオーラ全開で活動限界まであと30秒みたいな顔してるよ」

僕の落ち込みようは隠しようがありません。今日の晩ご飯、そめちゃん特製の「和風オムライス」をいただきながらダメ出しのことを打ち明けると、

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 そめちゃん「小学生の部屋と思って油断大敵だったんじゃないかな」

僕「中高生になっても大人になっても使えるようにちゃんと考えたんだよ」

そめちゃん「そうじゃなくて、子供を子供扱いしたってことじゃない?」

僕「???」

そめちゃん「アキラくん、子供のときに子供扱いされて嬉しかった? 子供のときに憧れるのは大人のひとじゃなかった?」

僕「戦隊もののヒーローも、Jリーグの選手も、たしかにみんな大人だったといえばそうだね……」

そめちゃん「でしょでしょ。私だって子供のとき素敵なお姉さんに憧れたり、きれいなお嫁さんやママになるのが夢だったもん。子供はさ、大人になりたいんだよ」

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 料理を食べて、会話をして、なんだか気分が晴れてきました。そめちゃん、何か重大なことを発言したような……。どの言葉に引っかかったのか問い質そうとしたとき、O様の長男くんの部屋の新イメージが、わくわく湧いてきました。

akira03そういえば「これいいでしょ!」と見せてくれたミニカーは、色とりどりの働く車でなく黒いスポーツカーだった!おお、見えてきた見えてきた! そうだ、ダークグレーの面材を使って、ダークでカッコ良いプランをキメてやろう! 明日は、さっそく修正案をまとめなくちゃだ。

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 そめちゃん、明日は1時間早く起こしてください!

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アキラです。収納家具専門店に入社して2年。収納プランナーの仕事というのは、ひと言でいえば、住まいと暮らしがますます好きになるような収納プランを提案すること。

仕事も慣れてきたし、接客は得意だと思うし、自分でいうのもナンですが、期待のルーキーってとこでしょうか。

さてさて、明日は新商品の販売促進会議があります。今回の新商品は小さな収納。大切なコレクションをキレイに収めてよろこびを深め、飾って眺めて好きなものを楽しむ。いままでの当店の定番とは違った商品を打ち出そうとしています。

このコレクション収納の使い方のアイデア出しをしようというのが、明日の会議のテーマです。ギター好きの僕は、ギターのアクセサリーをキレイに並べたり、スコア専用のキャビネットをつくるとか、 なかなかと思えるアイデアが浮かんでき ます。

そういえば、腕時計を10個以上持っている友だちがいたり、タブレットばっか使っているのに万年筆に凝ってる知人もいます。ガンダムのフィギュアをケースにかざったりN ゲージの車両を集めているとか。

とどまることを知らない僕のアイデア!なんて悦にひたっていると、脇を通りかかったM子先輩。

「すごいね、アキラくん。アイデアマンじゃない」

「そうすかね、こんなもんじゃないですか」と、たぶんドヤ顔の自分を自覚します。

「でもね、視点がおんなじだし、その視点が新鮮じゃないってとこがいまいちかな。まだ考える時間はあるからね」と。

女神のような笑顔でおっとりした口調なのに、言ってることは果てしなく厳しい。そして、正しい。仕事に関してはいちばんおっかない先輩かも。

奈落の底に突き落とされた気分のまま、自宅に向かう総武線に揺られながら、アイデア貧困、アイデア貧困、アイデア貧困……と、自信喪失。いや、何か思いつくはず。思いつけ、自分!

「おかえりー」と、帰宅した僕を迎えてくれるそめちゃんこと僕の奥さん。 仕事の落ち込みを悟られないようにするものの、

「アキラくん、悩み顔してるよ。ご飯の前に一杯飲もうか。この間もらった獺祭♪」と言われて、僕は今日の出来事をそのまま話します。

「誰でも考えることっていうのは、正しいってことでもあるからね。落ち込むことはないよ。立派なコレクションの立派な収納って、いいじゃない。でも、私みたいにコレクションの趣味がないとピンとこないかもね。

私だったらそうだな、カラフルでちっちゃい収納があったら、トイレにトイレットペーパーを飾る棚とか、キッチンの壁にスパイスラックがほしいかな。そういうの、自分も嬉しいし、友だちが家に来たときにちょっと自慢できるじゃない」

すごいよ、そめちゃん。目からウロコ。 気分すっきり、頭脳くっきり。アイデアが浮かんできそう。根拠はないけど自信回復!

「そめちゃん、晩ご飯にしよう」

そうか、小さな収納をもっと小さく使いこなすには。あっ、小さな収納で大きなプランもいけるかな。廊下とか収納を置かない場所に置く収納とか。にわかにわき出すアイデアの泉。 元気、勇気、前向きで明日の会議に参加できそう。

そめちゃん、明日は1時間早く起こしてください!」

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アキラです。新婚生活2年目。収納家具専門店に入社して2年目。収納プランナーの仕事は、収納から考えてすっきりキレイな部屋づくりをお客さまに提案することです。元気と勇気と前向きな姿勢で、仕事も家庭も大事にしています。

と、きめ顔できめゼリフを放った僕は、明日の予約相談のお客さま用のプランをまとめます。「LDルームの壁面収納」ですか。まかせてください。天井まで壁一面の壁面収納は当店の得意とするところ。 完璧なプランを提案をしてみせます!

 

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打ち合わせ資料のチェックをT先輩にお願いすると、

「お子さんもいないから、収納量はこんなに必要ないんじゃないかな」

若干むっとしながら僕は、

「収納量がたっぷりあれば、物が増えても対応できますから」と、反論。

「それはそうだけど、目の届かないところに物をしまうと死蔵品になるって嫌う方もいるし。今の住まいの写真を見ると、 もっとインテリアを楽しむようなプランがふさわしい方かなって。

アキラくんのプランは、平凡すぎるって思われるような気がするんだよね、このお客さまには」

うぅ。キツいことをズバズバと言ってく れます。朗らかな笑顔、柔和で麗しい外見なのに……。でも、言われたことはごもっとも、T先輩のおっしゃるとおりです。

打ちひしがれて、帰路の総武線に揺られて自宅に向かいながら代案を考えますが、新しいアイデアは浮かんできません。ノーアイデアのまま、夕食をつくって待っているそめちゃんこと奥さんの元へ。

僕「ただいまー」そめちゃん「おかえりなさーい」笑顔で迎えられます。

そめちゃん「帰ってきてそうそうだけど、今度の旅行で使うプロテカ、出しておいてくれない?」

僕「いいよ。クローゼットの棚の上だったかな」

そめちゃん「あとお醤油が切れちゃったの。この上にあるから取ってくれない?」

僕「オッケー」

そめちゃん「そこにストウブのタジン鍋もあるから出してくれるかな、今夜は魚と野菜のタジン蒸しだよ」

僕「はいっ、喜んで!」

あれ取って、それ取ってと、そんな会話は日常茶飯事。わが家は天井まで活かした収納が多いうえに、そめちゃんの身長は144cmなのです。

そめちゃんに、「上のものが取れないって不便じゃない?」と尋ねると、

「そんなことないよ、アキラくんが取ってくれるから!」

頼られる僕、でいいのか!?良しとしよう!でも、T先輩に言われたことが思い返されます。見えない収納は使えない収納。よし、明日は低めの壁面収納を提案してみよう。棚の奥までちゃんと見えて、飾るスペースを工夫して。ワイドがたっぷりとれるから、低めでも収納量は十分。

そめちゃんとの会話から、プランのアイデアが泉のように湧いてきます。勇気と元気と前向きな気持ちも湧いてきます。これなら打ち合わせまでに、4、5案はまとめておけそうだ。よっしゃあ!

そめちゃん、明日は1 時間早く起こしてください!

アキラです。収納家具専門店に入社して2年。新婚生活も2年目。良き収納プランナー、良きダンナとして、いつも元気と勇気で公私ともに前向きに!

収納プランナーの仕事というのは、すっきりキレイな部屋づくりを収納から考えて、住まいと暮らしがますます好きになるような収納プランをお客さまに提案することです。

さて、明日は書斎のプランを提案します。

ショップの書斎展示にひと目惚れしたOさまは、家具を設置するだけで工事なしで書斎ができるんだね、長年の夢だった男の城をつくれるんだね、と。愛用のマーティンを置いて、好きな音楽と池波正太郎を楽しむ空間をリビングの一角に設けようということで打ち合わせをしたお客さまです。

「自分の書斎ができたら、絵を描いたり曲が作れたりするかも」と、Oさまは嬉しそう。僕もギターを弾くので話が弾んで、ノリにノッてプランしました。若干の予算オーバーですが、このプランは自信作です!

閉店後、打ち合わせから帰ってきた店長のS子先輩にプランと予算書のチェックをお願いすると、

「うーん、41点。ぎりぎりかな。ここからまだまだ詰めなきゃだね。まあ打ち合わせはこれで乗り切って、次に満足できるプランを目指そうか」

自信満々ノリノリの僕は、5秒で撃沈。 さらに、

「それからアキラくん、若干だからといって予算オーバーを軽く考えるのは大間違いだよ」

と、とどめを刺されました。歯に衣着せぬS子女史。ぜったいサ●に違いない。 でも、仕事の話以外のときは、ぽわんとしたところがあって可愛いんだよな~。

自宅に帰る総武線に揺られながら、打ち合わせまでまだ18時間あるぞ。アキラ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ。 しかし、考えろと自分に呼びかけても新しいアイデアは浮かばず。浮かない気分のまま、ノーアイデアのまま自宅に到着。

家の中で沈んではいられない。そめちゃん(奥さんのこと)の前では元気にふるまいながら、おいしい晩ご飯をいただいていると、

「アキラくん、なんかあったんだね。元気が41点だよ」

って、何でわかるんだろう? 結局、今日の僕のダメっぷりをそのままそめちゃんに話すと、

「うん、リビングの一等地にそんなこもり処をつくっちゃダメだよ。たとえOさんとOさんの奥さんがオッケーと言っても、それは本当のオッケーじゃないんだよ。

寝室がいいよ。結構広いし、もともと寝室別室なんだから。ここが寝るのと着替えるだけの空間じゃなくなるっていうのが答だよ。本棚を低めにすれば予算オーバーも解消するんじゃない。

ねえ、アキラくん。予算ぴったりの提案と、おつりがくる提案、どっちが嬉しい!?」

そめちゃん、すごい! 収納プランナーみたいだよ。これじゃ僕の立場がなくなるってことなんだろうけど、そこはなるべく考えないでおこう。 とにかく、そめちゃんに元気と勇気とアイデアをもらって、僕の元気は100点に回復。

明日は早めに出勤して、Oさんへの提案

プランを修正。 「ベッド脇に居心地の良い一坪書斎を」

これでいこう。きっと喜んでもらえるはず。アイデアが決まればしめたもの。プランデータの修正や見積り書の作成は、先輩にも引けをとりません。

そめちゃん、明日は1時間早く起こしてください!